建物を組み立てる技術
製図試験は、要求室をすべて入れれば合格できる試験ではありません。
課題文を読み、敷地を読み、屋外施設を考え、部門を分け、要求室を配置し、動線でつなぐ。
それらがつながって、初めて一つの「建築」になります。

私もランクⅢだった頃は、部屋を一つずつ入れることばかり考えていました。
合格した年に変わったのは、「部屋」ではなく「建物」を組み立てるようになったことです。
このカテゴリーでは、私が本試験で実際に行っていたエスキスの流れに沿って、建物ができるまでを順番に解説します。
課題文 → 敷地図 → 屋外施設 → 要求室 → 部門 → スパン → 廊下
実際の本試験では、これらを単純に一方向へ進めるわけではありません。
条件や面積、部門同士の関係を行き来しながら、少しずつ建物を組み立てていきます。
STEP 1|まず「どんな建築を求められているか」を考える
いきなり要求室を配置しません。
最初に考えるのは、
「この課題では、どんな建築が求められているのか。」
課題文を単なる条件集ではなく、建築として読むところからエスキスは始まります。

STEP 2|敷地から「建物の置き方」を考える
道路、公園、交差点、方位、周辺環境。
敷地図には、建物の配置を考えるヒントがあります。
ただ確認するのではなく、
「自分なら、この土地をどう使うか。」
という視点で敷地を読みます。

STEP 3|建物より先に「屋外」を考える
駐車場、駐輪場、広場、車寄せ、屋外テラス。
後回しにすると、最後に入らなくなります。
建物と屋外施設を同時に計画する考え方を解説します。

STEP 4|要求室を並べる前に「骨格」をつくる
要求室表を見て、すぐに部屋を配置していませんか?
その前に、
「どの部門を、どこに置くべきか。」
を考えます。
個々の部屋を見る前に、建物全体の骨格をつくります。

STEP 5|「部屋」ではなく「部門」で建物を組み立てる
「この部屋が入らないから、こっちへ動かそう。」
私も以前はこれを繰り返していました。
でも大切なのは、部屋を一室ずつ入れることではありません。
部門のまとまりから建物をつくること。

STEP6|スパンを決める
部門や階構成が見えてきたら、次に建物の骨格となるスパンを考えます。
スパンは、単に柱の間隔を決めるだけではありません。
要求室の大きさや廊下、階段、建物全体のボリュームなどを考えながら、
「この建物なら、どのくらいのスパンで組み立てると納まりやすいか」
を考えていきます。
私も以前は、7m×7mなど、使い慣れたスパンを先に当てはめようとしていました。
ただ、スパンは最初から決め打ちするものではなく、課題条件や必要な面積から考えた結果として決まるものだと思っています。

STEP7|廊下をまっすぐ通す
スパンや部門の配置が見えてきたら、次に廊下を考えます。
私はランクⅢだった頃、要求室を入れていった結果として廊下ができるようなエスキスをしていました。
そのため、
- 廊下が途中で曲がる
- 行き止まりができる
- 部門同士のつながりが分かりにくくなる
といったことがよくありました。
合格した年に意識したのは、
「部屋を入れてから廊下を考える」のではなく、先に建物の中にまっすぐな動線を通すこと。
です。
廊下が素直に通ると、部門の関係や要求室の配置も整理しやすくなります。
すべての課題で必ず一直線にするという意味ではありません。
ただ、複雑な動線にする前に、
「まずはシンプルに通せないか」
と考えることが、エスキスを安定させる一つの方法だと思っています。

課題文 → 敷地 → 屋外施設 → 要求室 → 部門 → 動線
私は、この順番で考えるようになってから、
「部屋を入れるエスキス」から「建物を組み立てるエスキス」
へ変わっていきました。

STEP8|階段が本当に成立するか確認する
廊下や部門の配置が見えてきたら、階段が実際に成立するかも確認しておきます。
エスキスでは、
「ここに階段とエレベーターを置く」
というように、階段を四角で配置することも多いと思います。
私自身もそうしていました。
ただ、その四角の中に本当に上れる階段が納まっているのか。
特に天井高が指定される課題では、階高が変われば必要な段数も変わります。
そのため、
階高
↓
必要な段数
↓
スパンの中に納まるか
↓
階段の形・回転数
まで、一度は確認しておくことが大切です。
また、階段は単独で考えるのではなく、廊下や二方向避難との関係を見ながら配置します。
