廊下をまっすぐ通す理由|まとまりのある平面になる考え方

「廊下はまっすぐ通しましょう。」資格学校では何度も聞いた言葉でした。
恥ずかしながら、私はその意味を本当に理解したのは8回目の受験でした。
一級建築士製図試験では「廊下はまっすぐ」とよく言われます。
しかし、なぜそうするのかまで教わることは意外と少なく、「何となくそういうもの」と受け止めている人も多いのではないでしょうか。
実は私もそうでした。
部屋をどう入れるかばかり考え、廊下は最後に残ったスペースへ押し込む。
その結果、平面はガタガタになり、エスキスは毎回パズルのようでした。
8回目の受験で、「今回は廊下を最優先にしよう」と決めたことで、平面のまとまり方が大きく変わりました。
今回は、私が合格した年に実感した「廊下をまっすぐ通す理由」についてお話しします。
なぜ昔の私は廊下が曲がっていたのか

下の画像は不合格図面です。
まとまっていそうですが、今ならこんな廊下にはしないと思います。

私が何度も不合格だった頃は、部屋を入れることが最優先でした。
「この部屋をここへ。」
「あと一室どこに入れよう。」
そんなことばかり考えていました。
その結果、最後に余ったスペースが廊下になります。
当然、廊下はL字になったり、ジグザグになったり、場所によって幅が変わったりと、まとまりのない平面になっていました。
当時は、「部屋が全部入ったから大丈夫。」と思っていました。
でも今振り返ると、あれは建物を設計していたのではなく、パズルをしていただけだったと思います。
「廊下を最優先」にしたら平面が変わった
私は昔から「廊下はまっすぐ」と聞いていました。
でも正直、「ふーん。」くらいにしか思っていませんでした。
なぜなら、部屋が入らないからです。
廊下を優先すると要求室が納まらないように感じ、結局いつも部屋を優先していました。
しかし8回目の受験で、「今回は試しに廊下を最優先にしてみよう。」と考えました。
つまり、
「部屋を考えてから廊下を描く」ではなく、「最初に廊下を決めて、その中で部屋を考える。」
という順番に変えたのです。
すると、不思議なくらい平面がまとまりました。
部門ごとのゾーニングが明快になり、部屋同士の関係も自然になります。
エスキスも、今までのような「パズル」ではなくなりました。
私は最初に廊下を決めます
今の私なら、エスキスでは最初に廊下を決めます。
例えば建物の奥行きが3スパンなら、真ん中のスパンを廊下にします。
7mスパンで計画するなら、そのうち3mを廊下として確保します。
すると残りは4m+7mで11mになります。
つまり、
- 7m×11m=約77㎡
- 廊下側は7m×7m=約49㎡
というように、そのスパンに入れられる部屋の大きさがおおよそ見えてきます。
4スパンの場合も同じです。
上から2スパン目、または下から2スパン目を廊下にすると、両側の部屋を計画しやすくなります。
つまり、廊下を決めることで部屋の配置まで見えてくるのです。

合格した年の私のエスキスです。
廊下を真っ直ぐ通そうとしている様子がお分かりだと思います。

ここが、私が8回目でようやく気付いたことでした。
廊下がまっすぐだと施設全体がまとまる
製図試験は、部屋を並べる試験ではありません。
建物を設計する試験です。
廊下がまっすぐ通っていると、部門ごとのまとまりが生まれます。
利用者から見ても分かりやすく、管理もしやすい施設になります。
反対に、廊下が曲がり続ける平面は、部屋を無理やり押し込んだ印象になります。
もちろん、実際の設計でも多少曲がることはあります。
しかし、それは最後の調整です。
最初から曲げることを前提にするのではなく、
まずは一直線で計画する!
それでもどうしても入らないなら、L字程度まで検討する。
私はその順番が大切だと思っています。
また、廊下幅も途中で変えないようにしています。
例えば3mで計画するなら、最後まで3mです。
途中だけ2.5mにするような計画は、できるだけ避けています。
作図もしやすくなる

廊下をまっすぐにすると、作図も楽になります。
特に横方向の線です。
一直線に描けるので、途中で止めたり、描き足したりすることが少なくなります。
壁のラインもそろいやすく、全体として描きやすい図面になります。
私は作図時間の短縮にも、この考え方は影響していたと感じています。
エスキスだけでなく、作図までつながる考え方なのです。
どうしても廊下が曲がるときは何を疑うか
もし一直線の廊下でどうしても部屋が収まらないなら、
私はまず、
- 面積配分
- スパン割
- 階段位置
を見直します。
「廊下を曲げれば解決する。」
ではなく、
「そもそも計画のどこかがおかしいのではないか。」
と考えます。
その確認をした上で、それでも必要なら廊下の形状を変えることもあります。

2025年の本試験の再現図です。3階の廊下をL型形状にしていますが、意図があります。
「議場」を中心に
- 利用者は左側
- 執行部門は北側
- 議会部門は西側
と、ゾーニングをしています。

まとめ
私は8回目の受験で、ようやく「廊下をまっすぐ」という言葉の意味が分かりました。
それまでは、
部屋を優先して、廊下は余った場所。
合格した年は、
廊下を優先して、部屋はそこへ配置する。
この順番に変わっただけです。
たったそれだけですが、平面は驚くほどまとまりました。
もし今、エスキスがパズルのようになっているなら、次の課題では一つだけ試してみてください。
最初に、まっすぐな廊下を一本決めること。
その一本が、部門をまとめ、平面をまとめ、あなたの考え方を変えてくれるかもしれません。
そして私は今でもこう思っています。
廊下をまっすぐ計画すると、それがあなたの合格までの廊下になります。
