一級建築士設計製図試験|階段計画の考え方|階高から段数・納まりを確認

エスキスでは、階段を四角で配置することが多いと思います。
私自身も「ここに階段とエレベーターを置く」という程度で配置していました。
ただ、その四角の中に本当に上れる階段が納まっているのか。
一度は確認しておいた方がいいと思います。
一級建築士設計製図試験では、課題によって天井高が指定されることがあります。
天井高が変われば、階高も変わります。
そして階高が変われば、当然、必要になる階段の段数も変わります。
私は受験時、階高4m、4.5m、5m、6mなどの場合に、どのような階段なら成立するのかを手描きで確認していました。
階高から必要な段数を考え、それが7m程度のスパンの中に納まるのか。
1回転でいいのか、1.5回転になるのか、それとも2回転必要なのか。
階段を考える前に、まず階高を決める
私が課題文を読むときは、天井高の指定があるかを確認していました。
特に指定がなければ、基本的には階高4mとして考えていました。
天井高の指定がある場合は、その高さから必要な階高を考えます。
私の場合は、
天井高+床仕上げ約0.1m+天井ふところ約1.1m
を一つの目安にしていました。
たとえば天井高3.5mなら、
3.5m+0.1m+1.1m=4.7m
となります。

指定の天井高さ+1.2m
を階高と考えて計画していました。
マス目を利用した作図のしやすさを優先して+1.5mにしても良いと思います。
この場合、いつもの階高4mでは成立しません。
そこで必要な階高を設定し、その高さに対応できる階段を考える必要があります。
ただし、ここで階段より先に確認していたことがあります。
建物全体の高さです。
階高を高くすれば、当然建物も高くなります。
高さ制限に抵触してしまえば大きな問題になるため、私はスパン割りに進む前に建物高さを確認するようにしていました。
天井高だけを見て階高を決めるのではなく、
天井高を確認する
↓
必要な階高を考える
↓
建物高さを確認する
↓
高さ制限に問題がないことを確認する
ここまでをセットで考えていました。
階高が決まったら必要な段数を考える
階高が決まったら、次に考えるのが階段の段数です。
資格学校では、建築物移動等円滑化誘導基準に則った階段として、私は主に次の寸法を押さえていました。
- 踏面:30cm以上
- 蹴上:16cm以下
- 階段幅:1.4m以上
そのほか、踊り場についても必要な幅を確保します。
大切なのは、
「階段はこの大きさ」と丸ごと暗記することではありません。
これらの寸法を押さえておけば、階高が変わったときにも必要な階段を考えられます。
階高から必要段数を確認する
たとえば、階高4.5mの場合を考えてみます。
蹴上を16cm以下にするため、
4,500mm÷160mm=28.125
となります。
28段では蹴上16cmを超えてしまいます。
そのため、少なくとも29段以上必要になることが分かります。
私はこのような場合、平面への納まりも考えながら、たとえば30段で上がり切る階段として考えていました。
30段なら、
4,500mm÷30段=150mm
なので、蹴上は15cmです。
こうして、
階高
↓
必要段数
↓
実際の蹴上
を確認します。
ここまで分かれば、次はその段数を平面的にどう納めるかを考えます。
必要な段数がスパンの中に納まるか確認する
30段必要だと分かっても、それだけでは階段は成立しません。
次に、
その30段を平面上にどう納めるか
を考える必要があります。
私が受験時に確認していたのは、スパンから逆算して一方向に何段取れるか、ということでした。
たとえば7m程度のスパンに階段を納める場合。
そこから踊り場や壁厚に必要な寸法を引いて、踏面として使える長さを確認します。
私は、
踊り場1.4m×2+壁厚0.1m×2
などを見込み、残った長さに踏面30cmが何段入るかを確認していました。

仮に一方向に13段取れるなら、
13段×2=26段
です。
必要な段数が26段以内なら折り返すことで納まりますが、30段必要なら足りません。
そこで、
「もう一度折り返す必要があるのか」
「1.5回転にするのか」
「2回転にするのか」
と考えていきます。
階高から必要段数を確認し、さらにスパンの中に何段取れるのかを確認した結果として、階段の形を決めていました。

私は毎回計算していましたが、階高に応じた階段パターンを覚えられるのであれば、覚えておいた方が時短になりますね。
1.5回転の階段で、私は失敗しました
私は受験時、1.5回転の階段で失敗したことがあります。
1.5回転すると、上り始めと上り切りの位置関係が変わります。
ところが私は、それを十分理解せず、1階と2階で同じように階段を描いてしまいました。
その結果、
1階平面図と2階平面図で階段の整合性が取れていない。
そんな図面になってしまいました。
階段を平面上の「四角」としてしか見ていなかったから起きたミスだったと思います。
階段は、1階から上って、踊り場で折り返し、さらに上って2階へ到達します。
当たり前のことですが、回転数が変われば上階に出てくる位置も変わります。
平面図だけを見ていると、この感覚が抜けてしまうことがあります。
私は1.5回転をできるだけ避けるようにした
この失敗もあり、私はその後、できるだけミスの可能性を減らすという目的で1.5回転の階段をできるだけ使わないようにしていました。
本試験では限られた時間の中で、エスキス、記述、作図、見直しまで行わなければなりません。
私は1.5回転で一度失敗していたので、踊り場までの段数を調整するなどして、可能であれば2回転で納めるようにしていました。
本試験では、
「成立するか」だけでなく、「自分が間違えにくいか」
も大切だと思います。
難しい形を使わなくても成立するのであれば、私はできるだけ自分が扱いやすい形を選んでいました。
階段は二方向避難を考えて分散して配置する
ここまでは、階段そのものをどう成立させるかについて説明してきました。
ただ、エスキスでは階段の寸法だけを考えているわけではありません。
その階段を建物のどこに置くか。
こちらも重要です。
私は基本的に、
利用者用階段とサービス用階段の2か所
を考えていました。
そして二方向避難を確保できるよう、できるだけ離して配置します。
このときに関係してくるのが、廊下です。
私はエスキスで、できるだけ廊下をまっすぐ通すことを意識していました。
まっすぐな廊下を軸として考えると、階段やエレベーターなどのコアの位置も整理しやすくなります。
階段だけを単独で配置するのではなく、
廊下
+
利用者用のコア
+
サービス用のコア
というように、建物全体の動線や避難を見ながら考えていました。
廊下をまっすぐ計画していた理由については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

階段パターンは、考え方を理解したうえで覚えておく
受験していた頃の私は、
- 階高4m
- 階高4.5m
- 階高5m
- 階高6m
- 1.5回転
- 2回転
など、さまざまな場合の階段を手描きで確認していました。
実際に自分で描いてみたことで、
「この階高なら何段必要なのか」
「このスパンなら何段入るのか」
「どこで折り返せば上り切れるのか」
といった階段の仕組みを確認することができました。
階高ごとの階段パターンを覚えられるのであれば、覚えておいた方が本試験では楽だと思います。
ただ、形だけを丸暗記するのではなく、なぜその階段で上り切れるのかを理解しておくことも大切です。
私が基本として押さえていたのは、
踏面・蹴上・階段幅・踊り場幅など、階段を成立させるための寸法です。
これらを押さえておけば、覚えていた階段パターンがそのまま使えない場合でも、
階高を確認する
↓
必要段数を求める
↓
蹴上を確認する
↓
スパンに何段入るか確認する
↓
必要な回転数を考える
という順番で、その課題に合った階段を考えることができます。
エスキスのたびに、階段を一段ずつ細かく描く必要はありません。
私自身、本試験では、
「ここに階段とエレベーターを置く。」
という程度でコアを配置していました。
でも、その四角の中に本当に上れる階段が納まっているのか。
それを一度自分で確認しておくと、階高が変わる課題でも慌てにくくなります。
階段を「○m×○mの四角」として覚えるのではなく、なぜその大きさが必要なのかを理解しておく。
私は、その方が本試験で使える知識になると思っています。
また、階段の寸法や考え方を理解しておくことは、エスキスや作図だけに役立つものではありません。

記述で階段について記載を求められたときにも、自分が計画した理由を書きやすくなります。

階段まで含めて、私が2025年の本試験でどのような順番でエスキスを進めたのかは、こちらの記事でまとめています。




