一級建築士製図試験「敷地図の読み取り方」|「確認するだけ」の敷地図をやめて、合格に近づいた理由

ランクⅢが続いていた頃は、敷地図を「確認するもの」だと思っていました。
ただ、8回目で合格した年は、敷地図の見方が少し変わっていました。
私にとって、この変化が合格につながる大きなきっかけだったと感じています。
私が意識していたのは、
「もし自分がこの土地に施設を建てる建築主だったら、どのような提案をしてほしいだろう。」
という視点です。
前回の記事では、課題文を「条件集」ではなく「建築主からの要望書」として読む考え方を紹介しました。
今回は、その視点で敷地図を見ると何が見えてくるのかを、令和7年の本試験課題を例に紹介します。
STEP1:公園との位置関係を見る

初受験の頃は道路や方位を順番に確認していました。
しかし、合格した年に最初に見たのは公園でした。
理由は課題文に「住民に親しまれている公園に隣接した敷地」と書かれていたからです。
ここで私が考えたのは、「公園が南側だから、南側に開いた施設で計画しよう。」ではありません。
もし公園が北側でも、西側でも、
地域住民に親しまれている公園であれば、その公園とのつながりを大切にした計画が要求されている。

こう思ったからです。
なので私は、方位よりも「公園と施設の関係性」を考えることを優先していました。
STEP2:道路から正面とアプローチを考える

公園を確認したあと、次に見たのは道路です。
この時点ではまだ出入口を決めるわけではありません。
まず考えたのは、
- 建物はどちらを正面として計画するか
- 利用者はどこから入るか
- 管理・サービス動線はどうなるか
ということでした。
道路は接道条件ではなく、建物の使われ方を考えるための情報として見ていました。
STEP3:公共駐車場から人の動きを考える

次に確認したのは公共駐車場です。
課題文には、「来庁者だけではなく、職員も公共駐車場を利用する」と書かれていました。
敷地図には、東西に公共駐車場・駐輪場があります。
西側は敷地から直接の行き来ができますが、東側は道路を渡らなければいけません。
そこで私が考えたのは

- 西側の公共駐車場を利用者・職員用の共用とすれば、敷地へは安全にアクセスしやすい一方で、利用者と職員動線が交差しやすくなる。
- 西側を利用者、東側を職員用にすると動線が明快になるが、職員は毎日道路を横断して出勤することになる。
どちらもメリット・デメリットがあります。
この段階では、どちらを採用するかまでは決めませんでした。
公共駐車場の位置を、利用者部門と管理部門の配置を考えるための手掛かりとして見ていました。
STEP4:課題文に戻り、公園との関係性を確かめる
冒頭の設計条件にある、
「この課題は、ある地方の町にある、住民に親しまれている公園に隣接した敷地に、住民交流スペースを有する地方公共団体の庁舎を計画する。」
という文言。
これだけで、住民交流スペースを公園側に配置するとは確定しません。
もちろん、そのようなイメージはありましたが、この段階では一つの可能性にすぎません。
そして実際に住民交流スペースの特記事項を読むと、
「公園との関係性に配慮する」
と書かれていることを確認し、ここでようやく「やはり公園とのつながりを意識した計画が必要だ。」と判断しました。

敷地図だけで決めるのではなく、
「課題文と敷地図を行き来しながら考える。」
これを意識していました。

STEP5:用途地域・道路幅員・高さ制限を確認する
道路幅員や用途地域を見た段階で、どの高さ制限が関係しそうかは確認しておきます。
「階数に指定がなければ、何階建てにできそうか。」
「高さ的に無理のない計画になりそうか。」
ただし、この時点から細かな計算に入り込むわけではありません。
建物の配置や階数が見えてきた段階で、道路斜線などを具体的に検討していました。
敷地図を見始めた段階では、高さ制限の細かな検討よりも、建築全体の考え方を整理することを優先していました。
また、この年の敷地図では「北」ではなく「真北」と表記されていました。

真北方向は北側斜線制限などを検討するときに必要な情報です。
敷地図に真北が示されているからといって、必ず北側斜線制限の検討が必要になるわけではありません。
適用される高さ制限は、用途地域などの条件と合わせて判断する必要があります。

「真北」と書かれているのを見て、反射的に「北側斜線制限も検討しなければ」と身構えました。
多年度受験をしていると、こうした表記に必要以上に反応してしまうことがあります。
ただ、この年の本試験課題では、用途地域から判断すると北側斜線制限の検討は必要ありませんでした。
真北という表記だけに引っ張られず、用途地域と照らし合わせて判断する必要があります。
まとめ|条件の確認から、建築を考える読み方へ
ランクⅢが続いていた頃の私は、道路、方位、敷地寸法を確認できれば、敷地図を読めていると思っていました。
しかし、合格した年に考えていたのは、
「この土地では、どのような建築が求められているのか。」
ということです。
そう考えると、公園や道路、公共駐車場は、単なる条件ではなく、建物の配置やアプローチを考えるための手掛かりになります。
もちろん、道路幅員や方位、敷地寸法、法規制の確認も欠かせません。
ただ、それだけで終わらず、課題文と敷地図を行き来しながら、敷地に求められている建築を考えることが大切です。
課題文の読み取り方、敷地図の読み取り方、その次に考えるのが屋外施設です。
屋外施設は後から簡単に直せるものではありません。
一度配置を間違えると、建物全体を修正することになります。
次の記事では、私が実際にどのような順番で屋外施設を計画していたのかを紹介します。





