一級建築士設計製図試験「要求室の読み取り方」|レイアウトより先に考えていたこと
この記事は、「課題文→敷地図→屋外施設」の次のステップです。
まだ前の記事を読んでいない方はこちらからご覧ください。
▶︎ 一級建築士設計製図試験の課題文の読み方|「条件」ではなく「建築」として読む

課題文を読んだ。
敷地図も読んだ。
屋外施設も計画した。
その次に私が考えていたのは、要求室から建物全体の骨格をつくることです。
一級建築士設計製図試験では、要求室一覧を見た瞬間に、
「この部屋をここに配置しよう。」
と考え始める人も少なくありません。
私も初受験の頃はそうでした。
しかし、ランクⅢが続いた頃から要求室一覧の見方が少しずつ変わりました。
2025年に合格した年は、要求室一覧を見てもまだレイアウトは考えていませんでした。
まず頭の中で整理していたのは、建物全体の部門構成と面積のボリューム感です。
STEP1:まず青マーカーだけを読み直す
要求室一覧に入ったら、最初にもう一度確認するのは青マーカーです。
私の中で青マーカーが意味するのは、エスキスで絶対に外してはいけない条件です。

読み落としのしにくいマーキング方法をこちらの記事でご紹介しています。


例えば、
- 階指定
- 無柱空間
- 動線条件
- 利用条件
- 配置条件
などです。
私はエスキスを考えている途中で、「読んだはずなのに忘れてしまった。」ということが何度もありました。
試験終盤の見直しのときに気が付いて慌てて修正することもあれば、試験終了後に条件違反に気が付くこともありました。
試験結果はどちらも当然「不合格」
・東側道路との動線に配慮したレストランを西側に計画してランクⅡ

・「全客室は眺望に配慮」を読み落としてランクⅢ

エスキスを始めてから条件違反に気付くと、計画全体をやり直すことになります。

だから私は、最初に絶対条件だけを頭へ入れ直します。
ここを曖昧なままエスキスを始めないようにしていました。
STEP2:部門ごとに読み、建物全体をイメージする
私は要求室を一室ずつ読むのではなく、まず部門というまとまりで見ていました。
「議会」「執行」「地域交流」などの部門を整理すると、建物全体の骨格が見えやすくなるからです。
部門ごとのゾーニングは、このあとエスキス全体を左右する重要な工程です。
詳しい考え方は、こちらの記事で紹介しています。

STEP3:部屋名と面積は必ずセットで確認する
要求室を見るときは、部屋名だけでも、面積だけでもなく、部屋名と面積をセットで確認していました。
特に注意していたのが、
「約」なのか、「以上」なのか。
という違いです。
例えば「50㎡以上」と書かれていれば、7m×7mスパンでは49㎡です。
これでは条件を満たしていません。
製図試験では、
- 「約〇〇㎡」
- 「〇〇㎡以上」
という一文字が、そのまま条件違反につながることもあります。
だから私は黄色でマーキングした数字を追いながら、一つずつ確認していました。
STEP4:部門面積から「どんな空間の建物か」を考える
要求室の面積を見るときは、単に数字を確認するだけではありません。
各部門の面積をざっくり合計しながら、
「この部門は1フロアに収まりそうか。」
「複数階に分かれることになりそうか。」
「この建物は、各階にどのくらいのボリュームを持つ建物になりそうか。」
ということを考えていました。
ただし、ここでもまだ部屋の配置は考えません。
「事務室700㎡以上」という条件を見た時点で、
「かなり大きな面積を占める。1フロアだけで処理するのは難しいかもしれない。」
と考えました。

こうして要求室の面積を「部屋の大きさ」ではなく、建物全体のボリュームを読むための数字として見ていました。

この段階では、部屋を配置するのではなく、建物全体のボリュームをイメージしています。
部門ごとの面積から階構成を考える方法は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

STEP5:ここまで読んでも、まだレイアウトしない
要求室を読み終えても、まだ部屋を配置することはありません。
コアの位置も決めないし、スパン割も考えません。
この段階で整理したいのは、
「どの部門が、どのくらいの大きさで、どの階に入りそうなのか。」
という建物全体の骨格です。
初受験の頃の私は、この段階ですでに「この部屋をここに入れて…」と考えていました。
でも、それを始めると、一つの要求室を納めることに意識を取られて、建物全体が見えなくなることがありました。
だから合格した年は、意識的に「まだ部屋を置かない」ようにしていました。

要求室一覧は、部屋をどこに置くかを考えるためだけの表ではありません。
どんな建物になりそうなのかを読み取るための表でもあります。
要求室を読んだ瞬間にレイアウトを始めるのではなく、
「この建物は、どんな部門構成になるのか。」
「それぞれ、どのくらいのボリュームになるのか。」
「どの階に振り分けるのが自然なのか。」
まずはそこまで考える。
骨格をつくってから、ゾーニングへ進む。
これが7回不合格になった私が、8回目の受験でようやくたどり着いた要求室の読み方です。
要求室をただ収めるのではなく、配置の理由まで考える読み取り方は、こちらの記事で解説しています。

まとめ|要求室から建物の骨格をつくる

初受験の頃の私は、要求室一覧を見るとすぐに部屋を配置し始めていました。
しかし、2025年に合格した年は違います。
要求室一覧に一通り目を通して考えるのは部屋の配置ではなく、建物全体の骨格です。
- 絶対条件を確認する。
- 部門構成を整理する。
- 各部門のボリュームと階構成を考える。
ここまで整理できてから初めてゾーニングへ進みます。
要求室を読んだら、すぐにレイアウトを考えるのではなく、
「この建物はどんな構成になるのだろう。」
そんな視点で読み進めてみてください。
骨格が決まってから、初めてゾーニングを考える。
これが7回も不合格になった私が思う、条件違反の少ないエスキスの手順です。


