私の不合格カルテ2017年|「全客室は眺望に配慮」を読み飛ばしてランクⅢ
私が3回目の一級建築士製図試験を受験したのは2017年。

問題を見た瞬間からペースを崩されました。
- 敷地図が課題文に載っていない焦り
- エスキス用紙の1/4が敷地図に焦り
- そのせいでエスキスがやりにくいことで焦り
その焦りは最後まで続きました。
いわゆる「角番」で、今回の試験が不合格なら、また学科試験から受け直しです。
そんな角番年の課題は「小規模なリゾートホテル」でした。
2015年は課題文を十分に読めず、2016年は空間を立体で考えられませんでした。
だから2017年は「落ち着いて課題文を読み、丁寧にエスキスをしよう。」
そう思って試験に臨みました。
しかし、この年も思わぬ落とし穴が待っていました。
エスキス用紙を見た瞬間、戸惑った
試験開始。
課題文を開いた瞬間、いつもあるはずの敷地図がありません。
「あれ?」
そう思って探すと、敷地図はエスキス用紙に印刷されていました。
しかもA2用紙の1/4も埋め尽くしていました。
普段はA2の用紙をフルで使って計画していた私は、3/4しか使えないエスキス用紙では足りません。

たったそれだけのことですが、この2年間で染み付いていた手順が崩れました。
「コンセプトルーム」で完全に頭が真っ白
さらに追い打ちをかけたのが、コンセプトルームという条件です。
試験中の私は「なんじゃこりゃ。」と本気で思いました。
今まで見たことがない出題、何を書けばいいのか分からない、どんな提案をすればいいのか分からない。
今となっては、何を書いたのかさえ覚えていません。
それくらい頭が真っ白になっていました。
「全客室は眺望に配慮」を見落とした
2017年の本試験の敷地図はおおよそこのような形です。

この年の最大の失敗は、この一文でした。
「すべての客室は、名峰や湖の眺望に配慮する。」
要求室を納めることばかり考えていた私は、この条件を十分に意識できていませんでした。
地下1階・地上2階、全14室。
間口4mという客室の要求もあり、それらの部屋をただ納めるだけでも難しい課題でした。
私は、とにかく部屋が入るように配置しました。
その結果、
- 名峰にも向いていない。
- 湖にも向いていない。
そんな客室を作ってしまいました。


課題文を見落として、北側の山の眺望を望む客室、というコンセプトで進めてしまいました。
結果はランクⅢ
合格発表。
結果はランクⅢでした。
やはり原因は、「全客室は眺望に配慮」
この条件を満たせなかったことだと思いました。
当時は、それだけが敗因だと思っていました。
今なら、本当の敗因が分かります

今振り返ると、敗因は眺望条件を読み飛ばしたことだけではありません。
本来は”なぜその条件があるのか”を考えなければいけませんでした。
これが一番大きかったと思います。
製図試験は、あくまで「設計製図試験」です。
当時の私は、要求室を納めることばかり考え、「なぜその条件があるのか」という設計者としての視点が欠けていました。
「リゾートホテルに宿泊する人は、何を期待するか」という視点です。
この課題の敷地図を見れば、この土地の魅力が「名峰・湖の眺望」であることは明らかです。
もし実務で私が同じ計画を提案したら、そのホテルは周辺のホテルとの差別化ができません。
施主が期待していた価値も提供できません。
つまり、施主の要望に応えられない建物になってしまいます。
今なら、当時の自分にこう言います

要求室を納める前に、
「この建物は誰のために建てるのか。」
そこから考えてみよう。

建築主の要望を理解し、その土地の魅力を建築で表現する試験ということを、私は2017年の試験でそのことを身をもって学びました。
これは7回の不合格を通して向き合い続けることになる、私自身の大きな課題でした。
「設計製図試験」という課題は、その後も私を何度も苦しめることになります。
しかし、この時の私はまだ「設計する」ということの本当の意味を理解できていませんでした。
この”設計製図試験”という壁は、その後も何度となく立ちはだかることになります。
私は8回目で合格しました。
- 課題文をどう読むか
- 敷地図をどう見るか
- 屋外施設をどう計画するか
- 要求室をどう整理するか
一つひとつ考え方を見直し、積み重ねたことで、何年も続いたランクⅢから抜け出すことができました。

本試験当日に私が何を考えていたのか、を紹介した記事です。
それぞれの場面で実際にどのように考え、判断していたのかは、一つの記事では書き切れません。
このあと紹介する記事では、本試験で私が実際に行っていた手順や考え方を、一つずつ詳しく解説しています。



