一級建築士製図試験「要求条件の読み取り方」|課題文・敷地図の次は「屋外施設」を考える

課題文を読んだ。敷地図も読んだ。
その次に考えるのが、屋外施設です。
この順番を意識するようになってから、建物のボリュームで迷うことが少なくなりました。
課題文や敷地図の読み取りについては、それぞれ別の記事で詳しく紹介しています。
まだそちらを読んでいない方は、まずはこの2つの記事から読み進めた方が理解度が高まります。
▶︎ 課題文の読み方|「条件」ではなく「建築」として読む
▶︎ 敷地図の読み取り方|「確認するだけ」の敷地図をやめて、合格に近づいた理由
一級建築士設計製図試験では、課題文や敷地図を読み終えると、すぐに建物の形やゾーニングを考え始めてしまう人が少なくありません。
課題文を読み、敷地図を読んだら、次に考えるのは屋外施設です。
この考え方は、2024年の失敗から学んだものでもあります。
2024年の本試験|屋外施設の計画が崩れてランクⅢ
2024年の試験では、西側を車が進入できる道路だと思い込み、そこへ駐車場を計画しました。
しかし、作図中に見直して気付きました。
西側は道路ではなく、駅前広場だったのです。

私は西側の境界線に表記されている「道路境界線」という表記だけを見てしまい、敷地図を正しく読み取れていませんでした。

駐車場を東側へ移さなければならなくなり、それに合わせて建物の計画も修正することになりました。
「また今年もやってしまった。何回やるんだ、こんなこと。」
そう思ったことを、今でも覚えています。
この経験で痛感したのは、屋外施設は後から直せるものではないということです。
だからこそ私は、
- 課題文を読み
- 次に敷地図を読み
- それから屋外施設を考える
この順番を崩さないようにしています。
建物を配置できる範囲を確認する

課題文を読み、敷地図をしっかり読み込んだら、次は課題文に指定された屋外施設をすべて拾い出します。
駐車場や駐輪場はもちろん、その他にも・・・
- 車寄せ
- 屋外テラス
- 屋外遊技場
- 搬入口
- 隣接施設への出入口
- 敷地内通路
などがあります。
そのうえで、私は次の順番で考えています。
- 屋外施設と、それぞれに必要な動線を考える
- 建物を配置できる範囲を確認する
- 建物の外形とおおよそのボリュームを考える
- ゾーニングを考える
この順番を崩さないことを意識しています。
屋外施設は「動かしにくいもの」から配置する

屋外施設の中でも、最初に配置していたのは車椅子使用者用駐車場です。
建物の位置は後から多少調整できますが、車椅子駐車場などは、必要な寸法が決まっており、主出入口や道路との関係もあるため、後から動かしにくい施設です。
ただし、課題によっては車寄せや屋外テラス、搬入動線などが建物の配置を強く左右することもあります。
ここで大切なのは、道路や建物との関係が強く、後から動かしにくい屋外施設から考えることです。

駐車スペースの中でも必要な幅が大きい車椅子使用者用駐車場を最初に計画していました。
駐車枠だけでなく、車両動線まで確認する
駐車場は、必要な大きさの駐車枠が入れば成立するわけではありません。
- 道路から駐車場へ進入できるか
- 駐車するための切り返しができるか
- 駐車後に道路へ出られるか
- 歩行者動線と大きく交差しないか
ここまで確認する必要があります。
サービス用駐車場であれば、搬入口との関係も重要です。
「敷地内通路+基礎免震構造」は要注意
2025年の課題では免震構造が求められていましたが、基礎免震構造に限定されていたわけではありません。
私は基礎免震構造を採用する前提で、建物周囲のクリアランスを検討しました。
RCラーメン構造の柱寸法や敷地内通路、さらに基礎免震構造のクリアランスを積み上げていくと、建物を配置できる範囲が見えてきました。
2025年の私は、その結果として約8mのセットバックが必要だと判断しました。

- 柱0.8m角:柱芯から外側まで0.4m
- 基礎免震構造を考慮した建物周囲の空間:2.5m
- 車椅子使用者用駐車場の幅:3.5m
- 敷地内通路:1.5m
合計すると7.9mです。
そこで、道路境界線から建物の柱芯まで8m確保しました。
車椅子使用者用駐車場は建物に沿って配置したため、道路境界線から建物方向の寸法として3.5mを見込んでいます。
ここではまだ部屋の配置までは考えず、屋外施設が成立することと、建物を配置できる範囲を確認します。
この段階ですべての位置を完全に確定するわけではありません。
まずは、
「この範囲なら、屋外施設と建物の両方が成立しそうだ」
という見当をつけます。
その後、建物のゾーニングや主出入口、サービス出入口との関係を見ながら、屋外施設の位置を調整します。

建物を考える前に、屋外施設を成立させる
屋外施設は駐車場以外にも、
- 屋外テラス
- 車寄せ
これらが要求されていれば、当然これらの検討もこのタイミングです。
もし建物から考えてしまうと、
「駐車場が入らない」
「歩車分離ができない」
「屋外動線が苦しい」
という計画になりやすくなります。
屋外施設を先に成立させることで、「建物をどこまで配置できるのか」という範囲が見えてきます。

私が屋外施設を検討しているときは、
「建物を配置できる範囲を決めている」
という感覚でエスキスを進めています。
屋外施設が決まると、建物のボリュームが見えてくる
屋外施設を先に計画すると、建物を配置できる範囲が見えてきます。
私はその段階で、「約8m離せば、この建物は成立する」という感覚を持つことができました。
そこで初めてゾーニングや部屋の配置を考え始めます。
建物の形から考えるのではなく建物を配置できる条件を先につくる。
これが、私のエスキスの進め方です。
- 課題文に要求された屋外施設をすべて拾い出す
- 車両が進入できる道路を確認する
- 利用者・職員・サービスの動線を考える
- 後から動かしにくい屋外施設から配置する
- 駐車枠だけでなく、車両の進入や切り返しを確認する
- 歩車分離が成立するか確認する
- 建物を配置できる範囲を確認する
2025年の本試験で屋外施設から建物の範囲を決め、どのようにエスキスを進めたのかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

まとめ

- 課題文を読む。
- 敷地図を読む。
- 屋外施設を計画する。
これが私のエスキスの土台になっています。
屋外施設が決まれば、建物のボリュームが見えてきます。
建物のボリュームが見えてから、ゾーニングを考える。
屋外施設の見当を誤ると建物全体を考え直さなければいけなくなります。
なので、
課題文 → 敷地図 → 屋外施設
この順番でエスキスを進めてみてください。
屋外施設まで決まれば、建物を配置できる範囲が見えてきます。
そこで初めて、
要求室を部門ごとに整理し、建物全体の骨格を考えます。
次の記事では、私が要求室をどのように読み取り、部門ごとに整理していたのかを紹介します。



