2025年本試験③一級建築士製図試験|本試験当日のエスキス手順を公開
「また来年か……」
合格発表を見るたびに、何度この言葉が頭をよぎったか分かりません。
悔しさ、情けなさ、自分への失望。
一級建築士製図試験は、努力した分だけ必ず報われる試験ではありません。
ほんの小さな条件違反や計画のズレによって、不合格になる厳しい試験です。

私自身、何度も不合格を経験しました。
それでも諦めきれずに挑戦を続け、8回目の受験でようやく合格することができました。
そして2025年の本試験を終えたとき、私はそれまでとは少し違う感覚がありました。
「今年は違う」
それは、特別に斬新なプランができたからではなく、
課題文から読み取った設計条件を意識しながら、一つずつ建物の計画に落とし込めたという感覚があったからです。
例えば、
- 公園があるなら、建物とどうつなげるか
- 土日祝日や夜間に利用されるなら、どのような使われ方になるか
- 執務部門が大きいなら、無理に1フロアへ押し込まない
- 議会部門は庁舎としてどこに配置するのが自然か
- 部屋同士の関係性を考えながら、どの階に振り分けるか
こうした判断を積み重ねていきました。
この記事では、2025年本試験で私が実際に行ったエスキスの手順を、当時の考え方とともに紹介します。
もちろん、エスキス方法に絶対的な正解はありません。
私の方法が、そのまま全員に当てはまるとも思っていません。
ただ、何度も失敗した経験から感じるのは、考える順番をある程度決めておくことで、本番の迷いを減らせるということです。
この記事では、
- 課題文から何を拾ったのか
- その条件をどう計画につなげたのか
- 建物のボリュームをどう考えたのか
- 部門や階構成をどう整理したのか
- 実際にどのような順番で室を配置したのか
- どこまでエスキスを詰めてから作図に入ったのか
について、2025年本試験の実例をもとに解説していきます。

本番中は、以下のようなSTEPで考えていました。
公園や夜間利用など、計画を左右する条件を最初に整理します。
敷地と条件から、建物をどのくらいの大きさ・形にするかを考えます。
必要面積と廊下面積を見ながら、建物全体が成立するかを確認します。
700㎡を超える執務部門など、面積と部門のまとまりを整理します。
議会を3階、公園とつながる住民利用を1階に置く方向を決めます。
町長室・副町長室やサーバー室など、関係性を考えて各階に振り分けます。
廊下と大きな部屋から建物の骨格をつくり、関係性の強い部屋をセットで配置します。
ほぼ完成したエスキスを1/400に落とし込み、作図で迷わない状態にします。
私のエスキスSTEP①|課題文から「設計に影響する条件」を拾う

エスキスを始める前に、まず課題文から重要な情報を整理します。
ここについては、別の記事で詳しく紹介しているので、課題文そのものの読み方についてはそちらをご覧ください。
▶︎ 一級建築士設計製図試験の課題文の読み方|「条件」ではなく「建築」として読む
ここでは、課題文を読み終えたあと、拾った条件をエスキスにどうつなげたのかに絞って説明します。
私は以前から、課題文を読むときに、
「これは絶対に忘れてはいけない設計条件か?」
ということを意識しています。
何度も設計条件を見落とし、不合格になった経験があるからです。
▶︎ 私の不合格カルテ2015年|初受験で学んだ「課題文が読めない」という失敗
▶︎ 私の不合格カルテ2017年|「全客室は眺望に配慮」を読み飛ばしてランクⅢ
すべての文章をエスキス用紙に書き写すわけではありません。
エスキス用紙に書くのは、忘れると計画そのものに影響する条件です。
2025年本試験で特に意識したのは、
- 南側に公園があること
- 土日祝日も利用される施設があること
- 夜間利用があること
- 議会部門は3階に計画すること
などでした。

中でも、公園と土日祝日・夜間利用については、単に「条件として覚えておく」のではなく、その条件が建物の使われ方にどう影響するかまで考えていました。
公園があるなら、建物をどうつなげるか
南側に公園がある。
そう分かった時点で、私はエントランスを公園に面して計画することを意識しました。

ただし、それは課題文の中で条件指定されていないので、固執しすぎはNGです。
あくまで課題文の要求が最優先です。
さらに、公園と関係の深い地域住民利用施設も、公園側に寄せて計画する方向で考えました。
つまり、
「公園がある」
という敷地条件を、
「公園とつながる建物にする」
という計画条件に変換しています。
これは、課題文に書かれた条件をそのまま覚えているだけではありません。
「この条件なら、建物はどうあるべきか」と考えることが重要だと思っています。
夜間利用があるなら、セキュリティを考える
もう一つ意識したのが、夜間利用です。
庁舎のすべての部分が夜間も利用されるわけではありません。
そこで、
「夜間に利用する部分と、通常の執務部分をどう分けるか」
を考えました。
土日祝日も利用される施設についても同じです。
利用時間が異なる部門を無計画に配置すると、夜間や休日に庁舎全体を開けなければならなくなる可能性があります。
そのため、事務室などの執務部分とのセキュリティを意識しながらゾーニングを考えました。

課題文を読んだときに大切なのは、条件を覚えることだけではありません。
「この条件があることで、建物の計画はどう変わるのか」
まで考えることです。
そしてもう一つ、庁舎という用途から、早い段階で意識していたことがあります。
議会部門は最上階にする。
これは課題文を読んだ段階でほぼ決めていました。
庁舎として考えれば、議会部門を最上階に配置するのは自然な構成です。
このように、課題文に書かれている条件だけではなく、その用途の一般的な建物構成もエスキスの初期段階では利用します。
2025年本試験では、この段階ですでに、
1階:共用・住民利用
2階:執務部門
3階:議会部門
という大まかなイメージができていました。
ただし、まだ完全に固定したわけではありません。
執務部門の面積が大きいことから、1階や3階にも一部を振り分けることになりそうだ、とこの時点で予想していました。
つまり、最初に考えるのは「各階を完全に決めること」ではなく、建物全体の方向性をつかむことです。

私のエスキスSTEP②|建物のボリュームとスパン割を決める
課題文から計画に影響する条件を整理したら、次に建物の大きさを考えます。
まず敷地図を使い、最大建築可能な範囲を確認しました。

2025年本試験では免震構造を採用したため、隣地境界線から3mずつセットバック。
さらに北側道路には車椅子使用者用駐車場を計画する必要があり、3.5mに免震クリアランス2.5mを加えて6mを確保しました。
その結果、建物を計画できる範囲は、おおよそ
間口42m×奥行26m
となりました。
ただし、実際の建物は計画しやすいように、
42m×24m
として考えました。
スパン割は、
- 7m×6スパン
- 6m×4スパン
です。
そのため、建築面積は、
42m×24m=1,008㎡
となります。
ここで大切なのは、スパン割を決めたことそのものではありません。
この段階では、まだ細かな部屋を配置していません。
まずは、
「この敷地に、どのくらいの大きさの建物を計画できるのか」
という建物の器を決めています。
この器が決まれば、次に、
「要求室をこの中にどう振り分けられるのか」
を考えることができます。
私のエスキスSTEP③|廊下係数で「この建物は納まりそうか」を判断する
スパン割が決まったら、次に建物全体の面積を確認します。
ここで私が意識しているのが、廊下係数です。
廊下係数は、私の場合、
建物全体の床面積 ÷ 要求室面積
で考えています。
2025年本試験では、
- 建物面積:約3,024㎡
- 要求室面積:約1,950㎡
でした。
そのため、
3,024㎡ ÷ 1,950㎡ ≒ 1.55
となります。
私はこの数字を見て、
「これならいける」
と思いました。
私自身は、廊下係数が1.4〜1.5程度であれば、比較的無理のない計画になるという感覚を持っています。
もちろん、これは絶対的な基準ではありません。
用途や要求室、動線、吹抜けなどによって必要な共用部分は変わります。
それでも、エスキスの初期段階で、
「要求室を入れたあとに、廊下や階段などの共用部分を確保できそうか」
を判断する目安として使っています。
1フロアあたりの面積も考える
STEP②で建築面積を1,008㎡としました。
そこで、廊下係数を1.4として考えると、
1,008㎡ ÷ 1.4 ≒ 720㎡
となります。
つまり、
「1フロアあたり720㎡程度の要求室を目安にすれば、共用部分を含めて納まりそう」
という感覚を持つことができます。
この数字が、その後の部門の振り分けにも役立ちました。
廊下係数を、
建物全体の床面積÷要求室面積
と考えると
要求室面積=建物全体の床面積÷廊下係数
として、必要な要求室面積の目安を逆算できます。
例えば、1フロア1,008㎡で廊下係数を1.4とすると、
1,008㎡÷1.4≒720㎡
となります。
ただし、ここで数字だけを見てはいけません。
2025年本試験では、要求室の中に700㎡以上の大きな執務部門がありました。
1フロア720㎡程度を目安にしているのに、その部門だけで700㎡以上あります。
これを1フロアに無理に納めようとすると、他の要求室を入れる余裕がなくなります。
さらに、無理に詰め込めば、部門同士のつながりやゾーニングも悪くなります。
そこで、
「執務部門を1フロアに全部納める必要はない」
と判断しました。
この判断が、次の「部門整理」につながっていきます。

私のエスキスSTEP④|要求室を部門ごとに整理する
建物全体のボリュームが見えたら、要求室を部門ごとに整理します。
2025年課題では、
- 議会部門
- 執行部門
- 管理・共用部門
というように、部門ごとにまとめて考えました。
ここで重要なのは、まだ細かな部屋の配置をしないことです。
まず見るのは、
「それぞれの部門がどのくらいの面積なのか」
そして、
「1フロアに収めることができそうなのか」
ということです。
2025年本試験では、先ほど確認したように執行部門が700㎡以上ありました。
1フロアあたり720㎡程度を目安としているため、執行部門だけでほぼ1フロアを使ってしまいます。
ここで、
「執行部門を全部2階に入れればいい」
と考えてしまうと、他の部門を無理に押し込むことになります。
それではゾーニングが悪くなります。
そこで、最初から、
「執行部門は階をまたいで計画することになる」
と考えていました。
これは、最初に決めた階構成をすべて固定するということではありません。
面積を見ながら、
1階にも一部を振る。
3階にも一部を振る。
という調整をすることを前提にしていました。
部屋は「面積」だけで振り分けない
もう一つ意識していたのが、要求室同士のつながりです。
私は、部屋を一つずつバラバラに配置するのではなく、関係性のある部屋をセットで考えていました。
例えば、
- 町長室と副町長室
- 書庫と事務室
- カフェと公園
- エントランスと守衛室
などです。
このように考えておくと、単純に「空いているところに部屋を入れる」というエスキスになりません。
「この部屋は、どの部屋と近いほうがいいのか」
を考えながら、階やゾーニングを決めることができます。

エスキスでは、要求室を一つずつ配置していくのではなく、
「この部屋とこの部屋は関係が深い」
という組み合わせを意識すると、ゾーニングが考えやすくなります。
ここまで整理すると、建物の大枠がかなり見えてきます。
次は、この部門を実際にどの階へ振り分けるのかを考えていきます。

私のエスキスSTEP⑤|階構成を決める
部門整理ができたら、次に階構成を考えます。
2025年本試験では、課題文を読み終えた段階で、私はすでに大まかな階構成をイメージしていました。
1階:共用・住民利用
2階:執務部門
3階:議会部門
という構成です。
これは、単純に面積だけを見て決めたわけではありません。
庁舎という用途を考えたとき、議会部門は最上階に配置するのが自然です。
議場は静かな環境が必要ですし、庁舎の計画では議会部門を上層階にまとめる構成も一般的です。
また、2025年課題では南側に公園があり、地域住民が利用する施設も求められていました。
そのため、公園とのつながりを意識した住民利用のスペースは1階に配置するのが自然だと考えました。

エスキスでは、課題文に書かれている条件だけを見るのではなく、
「この用途の建物なら、一般的にどのような構成になるのか」という知識も使います。
庁舎には庁舎らしい構成があり、図書館には図書館らしい構成があります。
基本的な建物のつくられ方を知っていれば、エスキスのスタート地点を早く決めることができます。
ただし、ここで階構成を完全に固定しない
この段階で、
「1階は共用、2階は全部執務、3階は全部議会」
と完全に決めたわけではありません。
先ほど確認したように、執務部門は700㎡以上あります。
1フロア720㎡程度を目安としているため、執務部門だけでほぼ1フロアを使います。
さらに、3階を議会部門だけにすると、今度は3階の面積が余りそうです。
そこで、この段階ですでに、
「執務部門の一部は1階にも振り分けることになりそうだ」
そして、
「3階にも執務部門の一部を上げることになりそうだ」
と考えていました。
つまり、階構成を決めるときは、各部門をきれいに1フロアずつ分けることに固執しません。
まず大きな方向性を決め、その後に面積や部屋同士の関係を見ながら調整します。
私のエスキスSTEP⑥|各階へ部門を振り分ける

大まかな階構成が決まったら、具体的にどの部屋をどの階へ振り分けるかを考えます。
ここで意識していたのは、
「面積が入るか」だけではありません。
部屋同士の関係性や、どの部門とのつながりが強いのかも見ながら振り分けていきました。
例えば、町長室と副町長室です。
私は、この2室は議会部門との関係を考えると、3階にあるほうが自然だと考えました。
議場との位置関係を考えたとき、町長室・副町長室を議会部門と同じ階に配置するほうが計画としてまとまりやすいからです。
一方、サーバー室などは、2階の執務部門との関係がそれほど強くありません。
そのため、3階に余裕があるのであれば、こうした部屋を3階へ振り分けることができます。
このようにして、
3階:議会部門+議会との関係が深い執務部門の一部
2階:執務部門を中心に配置
1階:共用・住民利用+必要な執務部門の一部
という形に整理していきました。
ここで大切なのは、部門を階ごとに完全に分離しようとしないことです。
要求室の面積が大きければ、部門が階をまたぐこともあります。
そのとき、
「同じ部門だから全部同じ階にしなければならない」
と考えるのではなく、
「その部屋は、どの部門・どの部屋と関係が深いのか」
を考えて振り分けます。

私は以前、階ごとのゾーニングにこだわりすぎていました。
「この部門は全部2階に入れたい」と考えてしまうと、部屋を無理に詰め込むことになります。
その結果、廊下がガタガタになったり、動線が複雑になったりして、かえって計画がまとまらなくなることがありました。
私のエスキスSTEP⑦|建物の骨格を決めてから室を配置する
ここまで来ると、いよいよ具体的な室配置に入ります。
ただし、私はここでも要求室を一つずつ順番に入れていくわけではありません。
まず意識したのは、廊下をまっすぐ通すことです。
2025年課題では、東西方向に長い建物となるため、短辺方向の中央付近を廊下として、まっすぐ通すことを最初から考えていました。
そうすると、短辺4スパンのうち、上から2スパン目あたりが廊下になることが見えてきます。
廊下の位置が決まると、その両側に部屋を配置するという建物の骨格が見えてきます。
まず大きな事務室を配置する
次に、面積の大きな事務室を南側に配置しました。
大きな部屋を先に置くことで、残りのスペースにどのくらい余裕があるのかが分かります。
さらに、3階では議会部門の中でも大きな面積を必要とする議場を配置します。
ここでは、3階だけを見ているわけではありません。
2階の事務室など、上下階の配置との整合性も確認します。
廊下やコア、大きな部屋の位置関係を上下階で重ねて考え、
「これならいけそうだ」
という感覚をつかみます。
ここまでくると、建物の骨格がかなり見えてきます。

エスキスでは、最初からすべての部屋を入れようとしないことが大切です。
私の場合は、
廊下 → 大きな部屋 → 上下階の整合性
を確認して、まず「この建物ならまとめられそう」という状態をつくります。
関係性の強い部屋をセットで配置する
建物の骨格ができたら、次に関係性の強い部屋をセットで考えます。
例えば、
- 町長室と副町長室
- 書庫と事務室
- カフェと公園
- エントランスと守衛室
です。
こうして考えると、部屋を一つずつ配置するよりも、ゾーニングが決めやすくなります。
例えば、カフェは公園とのつながりを考えて公園側へ。
エントランスと守衛室は、来庁者の出入りと管理を考えてセットで考える。
書庫と事務室は、業務上の関係を考えて近接させる。
このように、どこに空きがあるか」ではなく、「どこに置くと使いやすいか」を考えながら配置していきます。
マス目は「入るかどうか」を確認するために使う
この段階では、きれいな平面図を描く必要はありません。
まずは小さなマス目を使って、
「この部屋はここに入る」
ということを確認します。
最初は1コマ×1コマの小さなマスで「こんな感じ」とイメージし、まとまってきたところで2マス×2マスを1スパンとして具体化していきます。
製図試験では、こうした小さなマスを使ったエスキスを「チビコマ」、2マス×2マス程度を「倍コマ」と呼ぶことがあります。
ただし、私が一番意識していたのは、マス目そのものではありません。
「廊下をまっすぐ通す」という建物の骨格を崩さないことです。
部屋がうまく入らなければ、まず廊下を動かして調整します。
廊下については、こちらの記事で詳しく紹介しています。


右は少し整理したもの

製図試験界隈では、
「1コマ×1コマ」を「チビコマ」
「2コマ×2コマ」を「倍コマ」
と、表現します。
私のエスキスSTEP⑧|1/400で作図に必要なところまで具体化する


ここまでくると、エスキスはほぼ完成しています。
チビコマの段階で、おおよその部屋配置や動線は決まっています。
そのため、1/400を描く段階では、ゼロからプランを考え直すわけではありません。
チビコマでつくった計画を、作図できるレベルまで具体化する。
それが1/400の役割です。
1/400を描きながら、細かな部分は微調整します。
2025年本試験でも、トイレや細かな室のレイアウトなどを少し変更した覚えがあります。
しかし、建物全体のゾーニングや大きな部屋の位置を、この段階で大きく変更することはありません。
1/400で確認すること
私が1/400で確認していたのは、例えば次のようなことです。
- 室同士のつながりに違和感がないか
- 廊下が成立しているか
- 階段・EVの位置に問題がないか
- 吹抜けや無柱空間など重要な条件を満たしているか
- 上下階の計画に矛盾がないか
- 作図するときに迷う部分が残っていないか
特に最後の、
「作図で手が止まらない状態になっているか」
は重要です。
1/400は、きれいな図面を完成させるためのものではありません。
作図に移ったとき、迷わず手を動かせるところまで計画を具体化するための最終確認です。

1/400を描き終えた時点で、作図中に「ここどうしよう?」と考える部分をできるだけなくしておきます。
私にとって1/400は、エスキスと作図をつなぐ最後の工程です。
ここまでエスキスを具体化できれば、作図では新しく計画を考えるのではなく、1/400で決めた内容を答案用紙に落とし込んでいきます。
私が作図中に迷わないために決めていた作図の順番と、3時間以内で描くために意識していたことはこちらで紹介しています。

また、エスキスで考えたことは、図面だけに使うものではありません。
「なぜこの部屋をここに置いたのか」「なぜこの動線にしたのか」といった判断は、そのまま記述を書くための材料にもなります。

エスキスは「部屋を入れる作業」ではない
2025年本試験で私が行ったエスキスを振り返ると、単純に、
「この部屋はここ」
「次はこの部屋」
と一つずつ配置していたわけではありません。
まず課題文から、計画に影響する条件を拾う。
↓
その条件から、建物の方向性を考える。
↓
敷地とスパンから、建物の器を決める。
↓
廊下係数で、面積的に納まりそうかを確認する。
↓
部門を整理し、面積と部屋同士の関係から階へ振り分ける。
↓
廊下や大きな部屋から、建物の骨格をつくる。
↓
関係性の強い部屋をセットで配置し、細かな要求室を納める。
↓
最後に1/400で、作図に移せるところまで具体化する。
このような順番で考えていました。
「今年は違う」と感じた理由
私が一級建築士設計製図試験に合格したのは、8回目でした。
それまで何度もエスキスをしてきましたが、2025年の本試験では、エスキスを終えたときに、
「今年は違う」
と感じました。
それは、今までよりも上手な図面が描けたからではありません。
設計条件を意識して、エスキスを組み立てられた。
そう感じたからです。
公園があれば、公園とのつながりを考える。
土日祝日や夜間利用があれば、その使われ方とセキュリティを考える。
面積が大きければ、無理に1フロアへ押し込まない。
議会部門を3階に置くなら、そこにどの部屋を組み合わせるのが自然なのかを考える。
そして、部屋を配置するときも、空いている場所に入れるのではなく、関係性のある部屋をセットで考える。
一つ一つは特別なテクニックではありません。
ですが、こうした判断を順番に積み重ねていくことで、エスキスが自然につながっていきました。

私のエスキス方法が正解というわけではありません。
ただ、何度も不合格を経験したからこそ感じるのは、
「何を考えるか」だけでなく、「どの順番で考えるか」を決めておくことが、本番の迷いを減らしてくれる
ということです。
エスキスは設計センスだけで決まらない
一級建築士設計製図試験では、「どんなに斬新な建物を設計できるか」を競っているわけではありません。
課題文に書かれた条件を読み取り、それを満たしながら、限られた時間の中で建物として成立させる必要があります。
だからこそ、私はエスキスを、
「部屋を入れていく作業」
ではなく、
「設計条件を一つずつ建物の形に変えていく作業」
だと考えるようになりました。
そして、そのためには毎回ゼロから考えるのではなく、ある程度の手順を決めておく。
私自身、8回目の本試験では、その手順を意識しながらエスキスを進めることで、最後まで大きく迷うことなく作図へ移ることができました。
これから一級建築士設計製図試験を受験される方にとって、この記事がエスキスの進め方を考えるきっかけになれば幸いです。

詳しく知りたい方へ
ここまで紹介したのは、2025年本試験で私が実際に行ったエスキスの流れです。
ただ、実際に課題を解くときには、
- 「課題文のどこを見るのか」
- 「敷地図をどう読むのか」
- 「屋外施設をどう考えるのか」
- 「要求室をどう整理するのか」
- 「ゾーニングをどう決めるのか」
といった、一つ一つの判断が必要になります。
これらについては、それぞれ詳しく解説しています。
2025年本試験の記録はこちら
2025年の本試験では、エスキスだけでなく、作図や記述、試験当日の時間配分なども含めて、自分なりの手順で試験に臨みました。
本試験当日の様子については、こちらの記事で詳しく紹介しています。



