一級建築士製図はフリーハンドでも大丈夫?平行定規とどっちがいい?8回受験した私の結論
一級建築士の設計製図試験は、フリーハンドでも大丈夫なのか。
それとも、平行定規で描いた方がいいのか。
「フリーハンドと平行定規、どっちがいいのか問題。」
この話題は毎年のように見かけます。
結論からいうと、私は基本的には平行定規をおすすめします。
ただし、平行定規を使って作図をしていて、
- 作図に時間が掛かる
- 図面を描くのがストレス
と感じているなら、フリーハンドを試してみるのも十分ありだと思っています。
私は一級建築士設計製図試験を8回受験し、平行定規で受けた年も、フリーハンドで受けた年もあります。
そして、8回目に合格した2025年の本試験では、フリーハンドで図面を描きました。
長い受験生活の中で両方を使ってきたからこそ、それぞれにメリット・デメリットがあると感じています。
この記事では、
・フリーハンドと平行定規はどっちがいいのか
・フリーハンドでも本試験で問題ないのか
・作図スピードは本当に速くなるのか
・私が平行定規からフリーハンドに変えた理由
を、実際の受験経験をもとにお話しします。
- 結論|初受験なら平行定規がおすすめ。フリーハンドでも問題ない
- 8回受験|平行定規とフリーハンドの両方で本試験を経験
- 一級建築士製図で、まず平行定規をおすすめする理由
- フリーハンドにして、作図が楽しくなった
- フリーハンドのメリット|作図が速くなりやすい
- 実際のフリーハンド図面はこのくらい
- フリーハンドの図面は汚い?私は「味」があると思う
- フリーハンドのデメリット① 緊張すると手の震えが線に出やすい
- フリーハンドのデメリット② 思っている以上に手が疲れる
- フリーハンドと平行定規を8項目で比較
- 初受験なら、私はまず平行定規をすすめる
- 平行定規がストレスなら、一度フリーハンドを試してみてもいい
- 本試験直前に「フリーハンドの方が速いから」と変える必要はない
- 7回不合格・8回目で合格|作図方法より大切だったこと
- まとめ|フリーハンドか平行定規かより、自分に合っているか
結論|初受験なら平行定規がおすすめ。フリーハンドでも問題ない
私の考えとしては、自分が描きやすい方でいい、というのが結論です。
フリーハンドの方が描きやすい人もいれば、平行定規の方が描きやすい人もいます。
どちらを使ったから有利、どちらを使ったから不利、ということではないと思っています。
建築技術教育普及センターが公表している一級建築士「設計製図の試験」の問題用紙にも、要求図面について「フリーハンドでもよい」と明記されています。

2025年本試験課題の問題用紙を見る(公益財団法人 建築技術教育普及センター)
ただ、
「どちらを使えばいいか分からない。」
と聞かれたら、私は平行定規をすすめます。
理由は、安定した線を引きやすく、図面全体も整いやすいからです。
特に本試験では、普段どおりに描けるとは限りません。
緊張して手に力が入ったり、手が震えたりして、
「練習では普通に描けていたのに、本試験では線が思うように引けない。」
ということもあります。

私が設計製図試験を初めて受けた年は、あまりの緊張とプレッシャーで手が震えてしまいました。
試験が始まって名前を書こうとしても、手に力が入りすぎて、
シャープペンシルの芯が何度も折れてしまったほどです。
それくらい、本試験では普段とは違う状態になることがあります。
フリーハンドの場合、その影響がそのまま線に出やすいです。
一方、平行定規であれば、定規をガイドにして線を引けるため、緊張した場面でも比較的安定した線を描きやすいと思います。
その意味で、
万人にすすめやすい、無難な選択は平行定規。
だと思っています。
ただし、それは、
「平行定規の方が優れている。」
という意味ではありません。
実際、私は両方を使った結果、フリーハンドの方がストレスなく描けました。
だから最終的にはフリーハンドを選びました。
大切なのは、
自分が本試験でも無理なく、時間内に描き切れる方法を選ぶこと。
だと思っています。
8回受験|平行定規とフリーハンドの両方で本試験を経験
私は一級建築士設計製図試験を8回受験しました。
その中で、平行定規で受験した年もあれば、フリーハンドで受験した年もあります。
練習で描いた図面まで含めると、おそらく平行定規で描いた方が多いと思います。
ですから、
フリーハンドしか経験していないから、フリーハンドをすすめているわけではありません。
両方を使ったうえで、私自身は最終的にフリーハンドの方が合っていました。
そして、8回目に合格した2025年の本試験もフリーハンドで描いています。

実際に私がフリーハンドで描いた図面です。
合格した年もフリーハンドで本試験を受けました。

平行定規を使うのは、
- 通り芯
- 寸法線
- 柱
- 壁の補助線
これ以降は完全フリーハンドです。
一級建築士製図で、まず平行定規をおすすめする理由
私は最終的にフリーハンドを選びましたが、
それでも、「基本は平行定規」と思っています。
一番の理由は、図面が整いやすいからです。
定規をガイドにして描くため、線は安定します。
柱や壁のラインも揃いやすく、図面全体を見たときにもきれいです。
私自身、平行定規とフリーハンドの図面を比べれば、
見た目だけなら平行定規で描いた図面の方がきれいだと思っています。
初受験の方で、「どちらを使えばいいか分からない。」
というのであれば、無理にフリーハンドを選ぶ必要はありません。
まずは平行定規で作図を覚えればいいと思います。

フリーハンドで描いた図面も、味があってそれもまた良く感じます。
私が平行定規からフリーハンドに変えた理由
では、なぜ私はフリーハンドに変えたのか。
一番大きかったのは、
平行定規で効率よく描こうとすること自体が、私には少しストレスだったからです。
平行定規で作図するとき、私はなるべく効率よく描こうとしていました。
たとえば、
「今のうちに横方向の線をまとめて描こう。」
「次に縦方向を描こう。」
「ここまで描いてから次へ進もう。」
というように、描く順番を考えます。
当然、その方が効率はいいと思います。
慣れている人なら、ほとんど無意識にできるのかもしれません。
でも私は、作図をしながら作図の順番まで考えることが、少し窮屈でした。
設計製図試験では、エスキスまでにかなり頭を使います。
ようやく計画がまとまり、
「さあ、図面にしよう。」
というところまで来たのに、
そこからまた、
「次は何をまとめて描けば効率がいいか。」
と考える。
私はそれがあまり好きではありませんでした。
エスキスが変われば、
- 建物の形
- 廊下の位置
- 要求室の配置
- 吹抜けや階段の位置
- 外部とのつながり
も変わります。

手順は確立していても、毎回異なるエスキスに対して、その手順に当てはめて描くことに、窮屈さを感じていました。
フリーハンドに変えて、作図のストレスが減った
フリーハンドへ変えて一番大きく変わったのは、
作図速度よりも、作図するときのストレスでした。
フリーハンドなら、描きたいところから描けます。
壁を描きたければ壁を描く。
柱を描きたければ柱を描く。
建具を描きたくなれば、そのまま建具を描く。
平行定規の位置や描く方向を気にする必要がありません。
私には、この自由さがとても合っていました。
「次にどの線を引くか。」ではなく、「今ここを描きたいから描く。」
という感覚です。
これだけで、作図中に感じていたストレスがかなり減りました。
私は紙を回しながら、縦線として描いていた
フリーハンドの描き方にも、人それぞれ癖があると思います。
私の場合は、横線よりも縦線を引く方が圧倒的に描きやすかったので、用紙を回転させながら描いていました。
本来は横方向に引く線でも、紙を90度回転させれば縦線になります。
その状態で線を描き、必要になればまた紙を回す。
その繰り返しです。
つまり、
自分が紙に合わせるのではなく、紙の方を自分の描きやすい向きに合わせる。
という感じでした。
平行定規のときは、
「横線をまとめて描く。」
「次に縦線を描く。」
と考えていました。
フリーハンドでは、紙を好きなように回して、自分が描きやすい方向で描く。
私はこの方法がとても楽でした。

フリーハンドにして、作図が楽しくなった
これは意外と大きな変化でした。
私は平行定規で描いていた頃、作図を「早く終わらせなければならないもの。」という感覚でやっていたところがありました。
でも、
フリーハンドに変えてから、紙を回しながら描きたいところをどんどん描いていく。
そうすると、
図面ができ上がっていくこと自体が楽しく感じるようになりました。
私は本試験で作図に3時間程度を目標に描いていました。
その時間を、
「面倒だな。」
「早く終わらないかな。」
と思いながら描くより、どんどん図面ができていくことを楽しめる方が、私には合っていました。
私が経験を重ねていく内にフリーハンドの割合が多くなっていったのは、
作図速度より、ストレスが少ないのがフリーハンドだった、という理由が大きいです。
フリーハンドのメリット|作図が速くなりやすい
もちろん、速度も大きなメリットでした。
フリーハンドでは、定規を線の位置へ合わせる必要がありません。
シャーペンを持って、そのまま線を引けます。
一本一本で考えれば、ほんの少しの差です。
でも一級建築士設計製図試験では、大量の線を引きます。
その小さな差が積み重なると、かなり大きくなります。
私はフリーハンドにしてから、作図をかなり速く進められるようになりました。
ただし、フリーハンドで線をきれいに描こうとして、
何度も描き直す。
曲がった線が気になって修正する。
一本一本を慎重に描く。
それでは、むしろ平行定規の方が速い場合もあると思います。
私の場合は、多少線が曲がっていても、図面として十分読み取れるのであれば、そのまま次へ進む。
という描き方でした。
作図時間を短くするには、描き方だけでなく、エスキスの段階で「描きやすい図面」にしておくことも大切です。
私は、廊下をできるだけまっすぐ通すことも、作図時間の短縮につながると感じていました。

実際のフリーハンド図面はこのくらい
ここまでフリーハンドについて書いてきましたが、
実際に私がどの程度の線で描いていたのかは、図面を見てもらうのが一番分かりやすいと思います。

見ていただくと分かると思いますが、定規で描いたような完全な直線ではありません。

本試験後の再現図なので、やや雑です。
曲がっている線も多くあります。
線の強弱にも多少ばらつきがあります。
再現図なのでやや適当に描いており、実際はもう少し真っ直ぐな線です。
ただ私はこのくらいでも十分と思っています。
もちろん、
線が乱れすぎて壁なのか何なのか分からない。
寸法が読めない。
図面として成立していない。
という状態ではいけません。
でも、
一本一本の線を完全な直線にすることが、設計製図試験の目的ではありません。
私は、
きれいに描くことより、時間内に必要な情報を描き切ること。
を優先していました。
フリーハンドの図面は汚い?私は「味」があると思う
平行定規とフリーハンドを比べれば、平行定規の方が線は整っています。
これは間違いないと思います。
一方、フリーハンドでは、少し線が揺れたり、一本一本に微妙な違いが出たりします。
ただ私は、それを必ずしも「汚い」とは思っていません。
むしろ、
手描きらしい、少し味のある図面になる。
と思っています。
建築のスケッチなどもそうですが、すべての線が機械的に揃っていなくても、全体として内容が伝われば、きれいに見えることがあります。
もちろん試験なので、作品として味を出す必要はありません。
ただ、フリーハンドだから図面として劣っている、とも私は思っていません。
必要な情報がきちんと伝わる図面になっていること。
それが一番大切だと思います。
フリーハンドのデメリット① 緊張すると手の震えが線に出やすい
ここまでフリーハンドの良いところを書いてきましたが、
当然デメリットもあります。
まず一つ目は、
手の震えが、そのまま線に出やすいことです。
本試験では緊張します。
私は8回受験しましたが、それでも本試験では緊張しました。
普段は手が震えない人でも、
本試験になると力が入ったり、手が震えたりすることがあります。
フリーハンドの場合、その震えがそのまま線に出ます。
普段はきれいに描けていても、本試験では線がガタガタしてしまう、ということもあると思います。
一方、平行定規や三角定規を使えば、定規をガイドにして線を引くことができます。
そのため、
緊張したときの手の震えによる影響は、フリーハンドより受けにくい。
と思います。
緊張すると手が震えやすい方であれば、これは平行定規の大きなメリットです。
フリーハンドのデメリット② 思っている以上に手が疲れる
もう一つ、私がフリーハンドで描いて感じていたデメリットがあります。
それが、手が疲れやすいことです。
フリーハンドで線を引くとき、自分で線を安定させようとするため、どうしても鉛筆を持つ手に力が入りがちです。
数本の線なら何ともありません。
でも、設計製図試験では長時間描き続けます。
作図の後半になると、私はかなり手が疲れていました。
平行定規なら、定規をガイドにして鉛筆を動かせます。
フリーハンドほど、「まっすぐ描かなければ。」と手に力を入れなくても線を引きやすいです。
つまり私の場合、
頭のストレスはフリーハンドの方が少ない。
一方で、
手の疲労はフリーハンドの方が大きい。
という感じでした。
フリーハンドと平行定規を8項目で比較
私が両方をかなり使った経験から比較すると、こんな感じです。
| 比較項目 | フリーハンド | 平行定規 |
|---|---|---|
| 線のきれいさ | ばらつきが出やすい | 整いやすい |
| 作図速度 | 慣れればかなり速い | 慣れれば十分速い |
| 描く順番 | 自由度が高い | 効率を考えながら描きやすい |
| 紙の扱い | 自由に回しながら描ける | 平行定規との関係を考える |
| 緊張したとき | 震えが線に出やすい | 安定した線を引きやすい |
| 手の疲れ | 力が入りやすい | 比較的負担を抑えやすい |
| 図面の印象 | 手描きらしい味が出る | 整った図面になりやすい |
| 初受験 | 慣れが必要 | 基本はこちらがおすすめ |
こうして見ると、どちらにもメリットがあり、どちらにもデメリットがあります。
だから私は、
「フリーハンドと平行定規、どちらが優れているか。」
という話ではないと思っています。
初受験なら、私はまず平行定規をすすめる
もし初受験の方から、「フリーハンドと平行定規、どちらで練習したらいいですか。」
と聞かれたら、私は「まずは平行定規でいいと思います」と答えます。
図面が整いやすく、安定した線を引きやすいからです。
設計製図試験そのものに慣れていない段階では、作図方法まであえて難しくする必要はありません。
まずは平行定規で、時間内に一枚の図面を描き切れるようになること。
そこからでいいと思います。
平行定規がストレスなら、一度フリーハンドを試してみてもいい
一方、ある程度作図できるようになったのに、
- どうしても作図が遅い。
- 平行定規で描くことが窮屈に感じる。
- 描く順番を考えるのがストレス。
- 作図そのものが嫌になってきた。
という方であれば、
一度フリーハンドを試してみてもいいと思います。
いきなり本試験で変える必要はありません。
普段解いている課題を使って、一度丸ごと一枚、フリーハンドで描いてみる。
それだけでも、自分に合うかどうかはかなり分かると思います。
速く描けるかどうかだけではありません。
「こっちの方が楽だな。」
と感じられるか。
私は、そこも大切だと思っています。
本試験直前に「フリーハンドの方が速いから」と変える必要はない
一つ注意したいのは、SNSなどで、「フリーハンドなら速く描ける。」という話を見て、本試験直前に突然作図方法を変えることです。
私はおすすめしません。
フリーハンドにも慣れが必要です。
たとえば、
- 柱をどのくらいの大きさで描くか
- 壁をどの程度の濃さで描くか
- 建具をどう描くか
- 寸法線をどう描くか
- 文字とのバランスをどうするか
- どの程度の線の曲がりまで気にしないか
こうした自分なりの描き方は、何枚か描く中で決まってきます。
だから、
「フリーハンドの方が速いらしい。」
という理由だけで変えるのではなく、実際に何枚か描いて、自分に合っているかを確認した方がいいと思います。
7回不合格・8回目で合格|作図方法より大切だったこと
私は一級建築士設計製図試験に7回不合格になり、8回目で合格しました。
その長い受験生活の中で、
平行定規も使いました。
フリーハンドも使いました。
そして合格した年はフリーハンドでした。
ただ、フリーハンドだったから合格した。とは思っていませんし、反対に、平行定規だったから不合格になった、とも思っていません。
私の場合、合否を分けていたのはもっと別の部分でした。
- 課題文をどう読むのか。
- 敷地条件をどう考えるのか。
- 屋外施設をどう配置するのか。
- 要求室をどう整理するのか。
- 部門をどうゾーニングするのか。
そして、
建築主が求めている建築をどう素直にまとめるのか。
そういった部分の方が、フリーハンドか平行定規かより、はるかに大切だったと思っています。
作図方法は、合格するための目的ではありません。
自分が考えた建築を、限られた時間の中で採点者へ伝えるための手段です。
私が7回不合格だった頃と、8回目に合格した年で大きく変わったのは、作図方法よりも「課題文をどう読むか」でした。
以前は条件を拾うことばかり考えていましたが、合格した年は「出題者はどんな建築を求めているのか」という視点で読むようになりました。

また、エスキスでは「要求室をどこに入れるか」より先に、建物全体をどう組み立てるかを考えるようになりました。
部屋を一つずつ配置するのではなく、まず部門ごとのまとまりや階構成を考える。
この考え方に変わってから、エスキスが崩れにくくなったと感じています。

まとめ|フリーハンドか平行定規かより、自分に合っているか
フリーハンドと平行定規のどちらが正解、ということはないと思っています。
私の結論をまとめると、
- 初受験で迷っているなら、まずは平行定規がおすすめ
- フリーハンドでの作図は、試験元も「フリーハンドでもよい」と明記している
- 平行定規での作図にストレスを感じるなら、フリーハンドを試してみる価値はある
- ただし、本試験直前に「速そうだから」という理由だけで変えるのはおすすめしない
- 最終的には、時間内に必要な情報を描き切れる方法を選ぶ
私は平行定規とフリーハンドの両方で本試験を受け、8回目に合格した年はフリーハンドでした。
でも、フリーハンドだったから合格したわけではなく、それまではフリーハンドだったから不合格だったわけでもないと思っています。
作図方法は、自分が考えた建築を限られた時間の中で採点者へ伝えるための手段です。
平行定規でもフリーハンドでも、自分がストレスなく、時間内に伝わる図面を描ける方を選べばいい。
私はそう思っています。



