一級建築士を一度諦めた私が8回目で合格するまで|2年間のブランクから再挑戦した理由

今回は、一級建築士を諦めた私が、もう一度挑戦しようと思えた理由をお話しします。
私は一級建築士の製図試験に8回目で合格しました。
でも、その途中で一度受験を諦めています。
2回目の角番落ち(6回目の不合格)後、製図道具は押し入れにしまいました。
「もう二級建築士で十分。」
そう自分に言い聞かせて過ごした期間です。
でも結果的に私は一級建築士になることができました。

今回は、一級建築士を諦めた私が、もう一度挑戦しようと思えた理由をお話しします。
一番つらかったのは5回目の不合格
製図試験でつらかったのは3回目の不合格、カド番落ちのときです。
また学科試験から受け直しか・・・。
でもカド番落ち以上に辛かったのは5回目の不合格のときでした。
とくに5回目の製図試験後の資格学校の講師との面談では、
「今回は期待して合格発表を待てますよ。」
と言われつつも、結果は不合格。
これで心は大きく折れました。

私自身も手応えを感じていました。
だからこそ講師からお墨付きをもらったことで「やっと今年こそは合格だ」と思っていました。
「やっぱり自分にはセンスがない。」
「何度やっても受からない。」
「自分だけ試験元から受からないようになっているんじゃないか。」
そんなことまで本気で思うようになっていました。
不合格を突きつけられたあの日は、自分のことを「何をやってもダメ人間」だと思っていました。
なぜか記憶がないほど心が折れていた、6回目の受験
今振り返っても、2度目の角番落ちの記憶だけが曖昧です。
試験直後、どんな気持ちで家に帰ったのか。
不合格と分かった日にどんな気持ちだったのか、間違いなくその時は悲しかったはずなのに、なぜかそこの記憶がありません。
すぐに「受験をやめよう」と決めたのか、それとも時間をかけて諦めていったのか。
その過程すら思い出せません。
その後、思い出せるのは「一級建築士は諦めよう。」と思ったことだけです。
「もう二級建築士で十分」と、自分に言い聞かせました
6回目の不合格のあと、私は一級建築士になることを諦め、製図道具は押し入れにしまいました。
捨てようとも思いました。
でも、なぜか捨てられませんでした。
また今度受けるかも、とは全く思っておらず、しまうスペースがあったから、なんとなくしまった。
その程度のことなんだと思います。
当時は「住宅なら二級建築士で十分。」そう何度も自分に言い聞かせていました。
でもそれは本心ではなく、本当は一級建築士になりたいけど、自分は向いていないと思っていたからこそ、苦しかったです。
「二級で十分」と思っていたのではなく、「一級建築士になれない自分を納得させよう」としていただけでした。
でも「二級建築士である自分」に劣等感
私がもう一度受験しようと思ったきっかけは、お客様と話す機会が増える中で、こんな言葉を聞くことが多くなりました。
「他社の一級建築士の方が言っていました。」
「YouTubeで一級建築士の人が話していました。」
もちろんお客様に悪気はありません。
でも、その言葉を聞くたびに私は劣等感を抱いていました。
「どうせ自分は二級建築士だから」
現場管理をしていた頃なら、そのまま受験を諦めていたかもしれません。
しかし営業・設計という立場になり、お客様が資格を一つの安心材料として見ていることを実感しました。
忘れられない名刺交換
今でも忘れられない出来事があります。
ある日、お客様との打ち合わせの中で、キッチンメーカーのアドバイザーの方と名刺交換をしました。
その名刺には「一級建築士」と書かれていました。
その瞬間、
「設計しているのは自分なのに一級建築士ではない。」
その事実が、とても悔しかったです。
もちろん、その方が一級建築士であることは素晴らしいことです。
努力して取得された資格です。
それでも当時の私は、
「商品のアドバイスをする立場の方も一級建築士なのに、住宅設計を仕事にしている自分は持っていない。」
そんな情けなさを感じてしまいました。
そして、施主の前だったこともあり、
「お客様はやっぱり一級建築士ってすごいと思ったのかな。」
そんなことまで考えてしまったのを覚えています。
心のどこかでずっと一級建築士に憧れていました。
「やっぱり一級建築士になりたい。落ちても受かるまで受ければ良い」
改めて強く思いました。
もう一度挑戦する決断
「また落ちたらどうしよう。」
「また同じ思いをするんじゃないか。」
そんな不安はあります。
ましてや落ちれば1年という時間と、数十万円というお金を失うことになります。
それでも、一度逃げたまま終わる方が、きっと後悔すると感じていました。
再起して初めての学科試験は不合格
受験を再開すると決め、押し入れにしまっていた製図道具を出す前に、まずは学科試験の合格。
学科試験に合格して、はじめてリスタートと言えます。
なので改めて独学で学科試験の挑戦、法令集の線引きからのスタートでした。
でも、再挑戦は順調ではありませんでした。
最初の学科試験は不合格。
法規では試験時間を測って解く練習をしておらず、本番では時間に追われました。
焦って法令集を引き、見直しも中途半端。
法規も構造も思うように点が伸びず、不合格でした。
以前の私なら、
「やっぱり無理だった。」
そう思っていたと思います。
でも、この時は違いました。
「また来年受ければいい。」
そう思えたのです。
翌年、学科試験に合格、設計製図試験は6回目の「ランクⅢ」
ようやく製図試験に戻ってくることができました。
私は心の中で、
「やっとスタートラインに戻ってきた。」
そう思っていました。
しかしその年の製図試験も不合格、相も変わらず「ランクⅢ」。
それでも不思議と絶望はありませんでした。
「また来年。」
「次の角番で落ちても、4回目の学科合格を目指せばいい。」
以前では考えられないほど冷静でした。
これまでとは覚悟が違います。
もう途中で諦めない。
落ちても受かるまで受け続ける。
その覚悟だけは、誰にも負けないと思っていました。
そして翌年。
8回目の製図試験で、ようやく合格することができました。
合格しても、最初は信じられませんでした

「おめでとうございます。」
資格学校の担当者より、朗報が届きました。
でも最初は、嬉しいというよりも、
「本当に?」
という気持ちでした。
落ち続けてきた期間が長すぎて、自分が合格したことを素直に信じられなかったのです。
最初に妻へ報告し、その後、お世話になった方々へ連絡しました。
ようやく
「努力が終わった。」
そう思えた瞬間でした。
今、何度も不合格になっているあなたへ
私は8回目で合格しました。
「努力すれば必ず受かります」と簡単には言えません。
私自身、一度受験を辞めています。
自分には向いていないと思いました。
試験に落ちすぎて、何をやってもダメな人間だと思ったこともあります。
それでも今、一級建築士として仕事をしています。
もし今あなたが何度も不合格になり「もう無理かもしれない」と思っているなら、その気持ちは痛いほど分かります。
でも、一つだけ伝えたいことがあります。
諦めようか悩んだ時は、一級建築士を受けた理由をもう一度思い出してみてください。
私は一度逃げました。
でもやっぱり一級建築士になりたいという強い思いから、難関資格と言われる一級建築士試験に戻ってきて、本当に良かったと思っています。
あの時、押し入れの奥にしまった製図道具を捨てなくて本当に良かった。
今では、そう心から思っています。
そして迎えた8回目の本試験。
合格した年の本試験当日を、考え方や判断、そして失敗まで含めて振り返っています。

