学科試験合格初年度、製図試験をパスするのはアリ?ナシ?|8回受験した私の考え
初年度に受験を見送る人がどれくらいいるのか、公式な統計は公表されていません。
ただ、現行制度では『今年は受けない』という選択も認められているため、
- 仕事の都合
- プライベートの都合
いろんな理由で、1回目をパスする人は一定数いると考えられます。
「今年の製図試験はパスしようかな…。」
学科試験に合格したあと、このように考える方もいるかもしれません。
現行制度では、学科試験に合格した年を含めた5年間のうち3回、製図試験を受験できます。
学科試験をパスした人は、課題発表前に受験を申し込む必要がありますが、学科試験合格者は課題発表後に今年受けるか受けないかを選択できます。
だからこそ「今年受けるべきか、それとも来年に回すべきか」と迷う人も少なくありません。
この記事では、私自身の経験をもとに、どのような基準で判断すればよいのかをお話しします。

私は制度改正前に、角番落ちを2回経験しました。
次落ちたらカド番。その次落ちたら、また学科からやり直し。
あのプレッシャーは、今でも忘れられません。
資格学校の学費が無駄になるのも辛いです。
でも、十分に勝負できる状態じゃないと感じているなら、貴重な受験機会を1回使うことの方が、私は辛く感じてしまいます。
学科試験から受け直す苦労を知っているからこそ、そう思います。
学科試験合格初年度、製図試験をパスするのはアリ?
結論から言うと、私は「受ける」も「パスする」も、どちらも戦略だと思っています。
現行制度では初年度に受験しなくても受験資格は残ります。
そのため、仕事や家庭の事情などを考えて翌年に照準を合わせることも一つの選択肢です。
ただ一方で、
- 課題が〇〇だから
- これから忙しくなるから
という理由だけでパスを決めることはおすすめしません。
大切なのは自分の実力で判断することだと思っています。
私も最初は「今年は絶対無理」だと思っていました
私が初めて学科試験に合格した時は、「やっと受かった。」という喜びでいっぱいでした。
当時は合格した年を含めた3年間しか挑戦できませんでした。
とはいえ製図の準備を始める内に「あと2か月半しかない。」という不安の方が大きくなりました。
資格学校へ行くと、教室にはたくさんの受講生がいます。
その光景を見て、「この中から合格を勝ち取るのか。」と、急に試験の厳しさを実感しました。
さらに、初めて製図を描いた日は完成まで約13時間。
試験では3時間程度で作図を終えなければいけません。
「あと2か月ちょっとで10時間も縮めるなんて無理。今年は絶対受からない。」
本気で思いました。
本番でも、私はエスキスをしている最中に、周りではすでに作図を始めている人がいました。
その光景を見て焦ったことを、今でも覚えています。
だから私は、初年度生が不安になる気持ちはよく分かります。
「最初の実力」で決めないで!設計製図は後半伸びる
初めて図面を描いた時の実力だけで考えれば、初年度は受験を諦めるレベルです。
でも、2か月半で大きく成長します。
実際、本番では練習以上の力を発揮する人もいます。
資格学校に通っていた8年間の中でも、学校で課題を解くスピード的に
「この人は今年の合格は難しそう」
と思っていた人が合格した姿を何人も見てきました。
だから、7月の時点で「自分には無理。」と決めつける必要はありません。
私ならこの基準で判断
では、いつ判断すればよいか。
私は本番2週間前を一つの目安にするのが良いと思っています。
その時点で、
- 作図が4時間以内
- エスキスがおおむね3時間以内
- 法規の知識が身についている
のであれば、合格の可能性は十分あると思っています。
理由は時間配分です。
本番では、
- エスキス:約2時間
- 記述:約1時間
- 作図:約3時間
- 見直し:約30分
これが一つの目安になります。
本番ではいつも以上に集中力が上がるとはいえ、練習で4時間以上かかっている状態ではかなり厳しいと感じます。
逆に、本番2週間前になっても、
- 作図に4時間以上かかる
- エスキスが3時間以上まとまらない
- 法規の理解が十分ではない
このように、十分に勝負できる状態ではないと感じるのであれば、パスという選択も十分ありだと思います。
「この課題だから受けない」は理由になりません
今年の課題が〇〇だから。
用途が苦手だから。
その理由だけで受験を見送るのは、おすすめしません。
なぜなら、一級建築士製図試験に「当たり年」は存在しないからです。
今年がホテルなら、来年は別用途。
その用途にも必ず別の難しさがあります。
だから判断するべきなのは、用途ではなく自分の実力です。
受けることも戦略。パスすることも戦略
私は、
受けることも戦略。
パスすることも戦略。
どちらも間違いではないと思っています。
ただ、最初から「課題が〇〇だから受けない。」と決めてしまうのは、少しもったいないと感じます。
まずは本気で2か月半取り組んでみる。そして、本番2週間前の自分を冷静に見て判断する。
それが現行制度を最も活かせる受験方法ではないでしょうか。
私自身、初めて図面を描いた日は13時間かかり、
「今年は絶対に受からない。」
そう思っていました。
でも、7月の自分には、10月の自分の実力は想像できませんでした。
だからこそ今、初年度の受験生に伝えたいことがあります。
最初の実力だけで、自分の可能性を決めないでください。
最後まで本気で取り組んだ人にしか見えない景色があります。
設計製図の学習は最後まで伸びる可能性があるものです。
次の記事は、後半の伸びに役立つものと思います。



