課題文を素直に読む」の本当の意味|エスキスで最初に考えるべきこと

「もっと素直になれ。」
これは一級建築士製図試験に落ち続けた私に対して、会社の先輩から何度も言われた言葉です。
当時はその意味がよく分かりませんでしたが、製図試験に合格した今、ようやくその大切さが分かった気がします。
実はこの「素直」という言葉は、製図試験でもとても重要です。
しかし、私自身も最初は、
「ちゃんと読んでいるのに何が違うんだろう」
「いや、十分素直だと思いますよ。」
と思っていました。
設計製図試験に何度も挑戦している人ほど、自分の経験や過去に解いた課題に引っ張られ、「素直に読む」ことが難しい場合もあります。
この記事では、私が失敗を重ねる中で気付いた、「課題文を素直に読む」の本当の意味をお伝えします。
「素直に読む」の意味が、最初は分かりませんでした
私は何度も製図試験を受験しましたが、「素直に読む」という言葉の意味がずっと分かりませんでした。
なぜなら、自分では素直に読んでいるつもりだったからです。
課題文は最初から最後まで読んでいる。
条件も確認している。
それでも「素直に読め」と言われる。
何を直せばいいのか分かりませんでした。
素直に読むとは、「その施設にとって当たり前」を考えること
一級建築士に合格した今、「素直に読む」を改めて考えてみると、その施設として当たり前の建物を考えることだと思いました。
例えば庁舎なら、
- 来庁者はどこから入るのか
- 職員はどのように働くのか
- 窓口は使いやすい配置になっているか
宿泊施設なら、
- 客室から何が見えるべきなのか
- 景色を楽しめる計画になっているか
課題文は文章ですが、その文章の先には必ず建物があります。
文章だけを読むのではなく、建物を想像しながら読む。
これが「素直に読む」ということなのだと、今になってやっと分かりました。
私は「名峰・湖に向けて計画する」を読み違えました
私自身、条件違反で不合格になった経験が何度もあります。
2017年の宿泊施設課題では、課題文には、「名峰・湖に向けて計画する客室」という条件がありました。
しかし私は、その客室をまったく違う方向へ配置してしまいました。
もちろん課題文は読んでいます。
でも、「客室をどこに配置すれば、この宿泊施設として自然なのか」という視点が抜けていました。
文章は読んでいても、建物を読めていなかったのです。
実は、このような思い込みによる失敗は2017年だけではありません。
振り返ると、他の年でも同じように「課題文を読んでいるつもり」で読み違えていたことがありました。
その失敗については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
▶︎ 私の不合格カルテ2015|課題文より自分の考えを優先してしまった
多年度受験生ほど難しく考えてしまう
受験回数を重ねるほど、課題文を素直に読めなくなることがあります。
過去課題を思い出したり、資格学校で解いた課題に当てはめたり、「今年もきっとこうだろう」と考えてしまいます。
その結果、目の前に書いてある課題文より、自分の経験を優先してしまう。
これが思い込みです。
課題文を読むことと、建物を考えることは同じ
私は、課題文を読むことと、建物を考えることはイコールだと思っています。
課題文を一行読むたびに、頭の中では建物が少しずつ組み上がっていく。
- 廊下はどう通るのか。
- 利用者はどう動くのか。
- 景色はどこへ向くのか。
このように建物をイメージしながら読むことで、条件の意味も自然と理解できるようになります。
エスキスでは、今目の前の課題だけを見る
エスキスで一番大切なのは、資格学校で解いた課題を忘れることです。
「あの課題ではこうだった。」
「去年はこう解いた。」
その記憶は、一度横に置いてください。
見るべきなのは、今、目の前にある課題文だけ。
毎年、条件は少しずつ違います。
その違いを読み取ることが、エスキスの第一歩です。
まとめ|エスキスのミスは、課題文を読んだ瞬間から始まる
エスキスは、製図試験の中で最も重要な時間です。
ここで思い込みを持ったまま進めてしまうと、最後までそのミスに気付かないことも珍しくありません。
課題文は文章ですが、その文章の先には必ず建物があります。
出題者は、文章を読んでほしいのではなく、その文章から建物を組み立ててほしいのです。
だから私は、文章だけを追うのではなく、建物を想像しながら読むことが「素直に読む」ということなのだと考えています。
そうすると課題文の見え方も、エスキスの組み立ても、きっと変わってくるはずです。
ぜひ、「課題文を素直に読む」という言葉を「建物として当たり前を考える」に置き換えて、課題文を読んでみてください。
